2016年7月19日火曜日

句集を頂きました

今日は訪れた老健の施設で予想外のものを頂きました。

80過ぎのいつも物腰柔らかなおばあさんの診察を終えた時に私の目の端に入ってきた本棚にそのおばあさんの名前と同じ名前が著者として書かれた厚さ一センチを少し超えるほどの本を偶然に見つけたのでした。
本棚はその人の脳の中とその人そのものを表すと信じている私は、この、認知症とは全く無縁の理知的なおばあさんの事に実は以前から少し興味を抱いていたのですが、何と俳句をも出版するような方だったと改めて知ったのでした。

失礼ですが、、、と手に取って中を開くと驚くような量と質の句が飛び出してきて目の前に広がります。
正直にそのおばあさんにいくつか読んだ句の感想を伝えると、「もしよろしければ一冊貰っていただけませんか」と仰って、箪笥の抽斗から新品の同じ本を一冊私にプレゼントしてくださいました。角川書店より発行されている立派な装丁の本で、有り難く押し頂きました。

奥付の著者略歴をみると私が生まれるずっと前に奈良女子大学を卒業と書かれておりました。
大学が未だレジャーとは無縁だった頃の真の学士を排出していた頃の奈良女子大卒の方でした。(下らない比較ではありますが、今でも偏差値は東京女子大とどっこい位の高さですね。知りませんでした。ナラジョが入学が難しい大学の一つであることは私も高校生の頃からよく知っておりましたが、成人してからはあの大数学者の岡潔先生が教鞭を執られておったことを知っておりましたので、その在籍年代を調べたら充分に岡先生の授業を受けられた可能性のあるお年でしたので、また今度チャンスが有ればお話を伺ってみたいものです。)

真摯に磨かれ、熟成した知性というものは老いてなお、十二分に機能的であることを再認識した一瞬でした。恥ずかしい限りですが、知性というのは一生にわたってヤスリで磨き続けなければならないと私自身が診察の帰路に深く反省させられた今日一日でした。
死ぬ直前まで己に鞭を当て続け(駄馬であることは充分自覚した上で)前に前に進んでいきたいと思うのです。

大先輩の凛とした日常の姿勢の源は、こう言った内面の輝きが外に漏れ出していたのでしょう。
己の不明を恥じるとともに、また先輩に教えを請うチャンスもあるであろうことを願う私でした。

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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

>本棚はその人の脳の中とその人そのものを表すと信じている私は

そうなんですよね。私も同じように思っていました。
だから、自分の本棚というか、買ったり読んだりした本は人様に絶対に紹介できません。
極秘です。笑
高校時代の友人のお兄さんが読書家で、時々お気に入りの本を紹介してくださるのですが
自分だったら本屋さんで手にとらないようなムズカシイ本が多いです。
必死に読んでいますが、一朝一夕には追いつけないですね…
お兄さんはこのままずっと憧れの存在のままでしょう。

>知性というのは一生にわたってヤスリで磨き続けなければならないと私自身が診察の帰路に深く反省させられた今日一日でした。
死ぬ直前まで己に鞭を当て続け(駄馬であることは充分自覚した上で)前に前に進んでいきたいと思うのです。

smallGさんは反省しなくても十分に知性的な方だと思っています。
それでもなお、更なる上を目指される姿勢がすばらしいです。

small G さんのコメント...

この歳になると己の脳味噌がとの程度のもんかよ〜〜〜くわかっております。w

それにしても、読書家の方に本を紹介していただけるというのは実に幸せな話ですね。
そういった人物が傍にいるかいないかで読書の喜び・深さは大きく変わってきますので、ご自分は幸せな立場におられると思いますよ。
その僥倖を存分に活用されてください。(その読書家の方が紹介された本というのを読んでみたい気もありますが。というのも、私は読書は実にパーソナルで偏ったものだと思っていますので、人には滅多に本を紹介したり出来ないのですが、それでも!と言う本は極少数しか有りませんので・・・。)