2015年7月2日木曜日

経済的DV

不勉強な私、昨日まで経済的DVなる言葉がこの世に存在することを本日まで知りませんでした。

男性から女性、女性から男性、親から子、子から親などの間での身体的・精神的なDVは当然のように知っておりましたし、アメリカの一般家庭でもそういう話が実にごく身近にあることも知っていましたし、日本の病院における短い臨床経験の間でさえも、DVを受けた患者さんの診察をしたことがありました。

しかし、病院内の社会課の担当者が連れてきた気の弱そうな年配の男性患者さんの事を担当者の方から説明を受けた際にその会話の中で「経済的DV」と言う言葉が出てきたのでした。
聞いた瞬間にある程度の推測はついたのですが、その経済的DVというものがどのようなものかというのを素直に担当者の方に実例羅列という形で立ったままミニ・レクチャーを受けました。

いやあ酷いもんですね。実際に聞く実例は想像の上を行くエグいものばかり。
精神疾患を患っている人や、知的障害がある人達の親兄弟や妻でさえ、その本人からいろいろな形で金を巻き上げている人達の多いこと多いこと。本当に一部の人間の奥底にある果てしなき浅ましさを聞かされるようで、聞いていて滅入ってくるような話ばかりでした。

実際にはこういった障害がある人達とそうでない人達の間だけでなく、婚姻関係のあるなしに拘わらず、男女間などでも一方の人間から一方の人間が経済的な負担の一方的な押し付けをされる例というのは枚挙に暇がないとのこと。
役所や裁判所が間に立ち行ってそういった声もあげられず搾り取られていく弱い立場の人達を保護するまで「当たり前のように」自分の身近な人の労働や貯蓄を自分の財布代わりに使って生きていくヒル(蛭)のような屑がこの世の中にはわんさかといるようで。

しかも、こういった経済的DVと言うのは多くの場合肉体的・精神的なDVもセットになっているということです。
たちが悪い事に、こういった人達の中には収奪する側とされる側との間で精神的共依存関係になっている人達「も」居るというやるせない話。どうにもいろいろな話を聞いていると、昔はやったダメンズwalkerという人達もこういった話の中に分類されてしまう人達が居るようで、思わず話を聞いていて溜息が出てしまいました。

役所も非力なマンパワーで良くやっているとは本当に思いますが、こういったDVを受けた人や家族の中からまた将来同じようにDVを振るったり振るわれたりするような種が連鎖の一部として出て行くのではないかと思うと、少なくとも病院レベルではなんともできる事が限られているという事実に悲しくなりました。

如何せんこういったことは表に出るまでに事態が極度に悪化していることが非常に多いようで、心と身体と財布に大きな傷を負った人達を助けあげることは限りなく困難な作業のようにも思えます。

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