2016年11月28日月曜日

夢のような抗がん剤

分子生物学の力は偉大です。

私の場合はその様な能力にも運にも恵まれず、努力も足りませんでしたが、世の中は広い。同じ様にアメリカで研究した仲間達や知人の中には素晴らしい成果を上げて眼の前に素晴らしい抗癌効果を見せる薬や治療法を引っさげて”今まさに”檜舞台に躍り出ようとしている人達が何人かおります。

分子生物学的に各種”嫌になるほど”大量の基礎的なデータを積み重ねられた諸々の治療のターゲットと成り得るシグナル分子達の表面上の更に最も効果的である部位に噛み込んでいくような低分子化合物の合成がスパコンの力を使って可能となる時代が本当に今まさに眼の前にあります。

世界各国の有名大学や研究所、そして勿論、製薬企業群達が巨大なところもベンチャーも、自分の信じるところを実現すべく基礎的な実験とともに最高レベルのスパコンをいろいろな契約のもとでガンガン走らせて化合物の選別を行っているのです。

そしてそれらの中には既に”現在の有名抗がん剤”で治せない癌を一気に消滅させるレベルの成果を見せているものも多々あります。それらの中から、四相の試験をくぐり抜けて仕上がってくるものの中にはいま、巷で噂になっているオプジーボも効果がない癌もスカッと切り刻むものまであるわけですから、21世紀というのは実に凄い時代です。

映画ソイレントグリーンだったかな?(間違ってたらごめんなさい!)人工知能が分子形状から推論と計算だけで作り上げた夢の抗がん剤の話をするシーンが有ったと思うのですが、まさにその時代がやって来ているのです。
無論、泥臭い基礎実験との組み合わせで地道に成果が確認されているわけですが、今後もこれらのコンビネーションは鎮痛剤、抗がん剤、その他の代謝拮抗薬なども含めて、本当に副作用を抑えきった素晴らしい成果が臨床で使える時代になることでしょう。

我々が医学部学生だった時代の抗がん剤の知識などはそれこそ”無用の長物”として、古典の教科書の歴史の中に”こんなひどい副作用のある薬”で癌と戦っていた時代も有ったのです、と書き記される日が来るのでしょうし、そうでなければならないと思います。

そういった薬が気軽に使える時代にまで私は生きているのか・・・まあ、子供達の時代でしょうな。w

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